なぜKVM製品にはUSB-Bが採用され続けるのか — その理由と他との違い

KVM(キーボード・ビデオ・マウス)製品において、USB-Bは依然として標準的なインターフェースとして選ばれています。その理由は、堅牢な物理構造、信頼性の高いデータ伝送、そして旧型機器から最新デバイスまで幅広い互換性を持っているためです。他のUSB端子タイプと比較しても、USB-Bはしっかりとした装着感と耐久性、そして偶発的な抜け落ちへの強い耐性を備えており、安定した接続が求められるKVM用途には最適です。


本記事のポイントまとめ

  • USB-Bコネクタは強固で安定した装着性を持ち、KVMスイッチに最適

  • USB 3.0対応で高速なデータ転送も可能、4Kデュアルモニターにも対応

  • 古い機器と最新の機器、両方に対応可能な高い互換性

  • 頻繁な切替操作にも耐え、業務中のダウンタイムを最小限に抑える

  • サイズはやや大きいが、信頼性と安定性を優先するプロ仕様には最良の選択肢


USB-Bの特徴

物理的な設計

USB-B端子は、角を面取りした正方形の形状が特徴です。この設計により、ケーブルが確実に挿し込まれ、抜けにくくなっています。また、繰り返しの抜き差しにも耐えられる構造で、プロフェッショナルな現場でも長期間安定して使えます。特にKVM環境では、ケーブルに負荷がかかっても安定性が損なわれない点が評価されています。

💡 豆知識: USB-Bの頑丈な構造は、信号ロスや物理的な破損を防ぐのにも効果的です。


対応プロトコルとデータ速度

USBバージョン データ転送速度 KVMでの用途例
USB 3.2 Gen 1 最大5 Gbps 4K@60Hz×2、HDMI 2.0、HDCP 2.2対応のKVMで使用
USB 3.2 Gen 2 最大10 Gbps 高速データ転送や周辺機器への高対応力

USB 3.2 Gen 1搭載のKVMスイッチでは、高解像度のモニターや大量の周辺機器にも対応可能。さらにGen 2ではさらに高速な通信が可能となり、業務効率を大きく向上させます。


KVMにおける活用ケース

  • キーボードやマウス、外付けHDDなど重要な周辺機器との安定した接続

  • 旧機種と最新機器の混在環境でも使える高い互換性

  • 機器切替時の接続断を防ぐ構造で、プロ用途に適する

💡 選定ヒント: KVM機器を選ぶ際には、USBポートのタイプが手持ちのデバイスと合っているかを確認しましょう。


他のUSB端子との比較

USBタイプ 形状と向き 主な使用デバイス
USB-B 正方形・面取り角 プリンター、KVMスイッチ、スキャナー
USB-A 平らな長方形 デスクトップ、ノートPC、ハブ
USB-C リバーシブル・楕円 最新ノートPC、スマホなど
Micro USB-B 小型・非対称 モバイル機器、カメラなど

USB-Cはスリムで新しい機器に多く採用されていますが、KVMのような信頼性重視の用途では、USB-Bの堅牢性が光ります。


データ転送と電力供給能力の比較

USBポートタイプ 転送速度 電力供給 KVMでの適用例
USB 2.0 Type-B ~480 Mbps 5V 基本電力 旧型KVM機器との安定動作
USB 3.1 Gen 1 (Type-C) ~5 Gbps 最大100W(PD対応) モダンなマルチディスプレイKVM
USB 3.1 Gen 2 / 3.2 ~10~20 Gbps 最大100W 高速データが求められる業務用KVM
USB4 / Thunderbolt 4 ~40 Gbps 高度な電力管理 高解像度・高速接続対応のKVM

USB-Bは最新規格と比べると速度やサイズ面では劣るものの、KVM環境では「安定した接続」という点で今もなお実用的な選択肢です。


KVMにおけるUSB-Bのメリット

✅ 安定性と信頼性

USB-Bは抜けにくい設計と丈夫な構造で、KVMのように頻繁に切り替える環境でも安定して動作します。

ケーブルタイプ コネクタ色 高速KVMでの互換性 安定性への影響
USB 3.0 互換性あり 高い安定性
USB 2.0 白または黒 非互換 不安定または未対応

KVM機器にはUSB-HIDとUSB 3.0の2種類のポートがあることが多く、USB 3.0ポート(USB-B使用)は高帯域が必要な周辺機器の接続に適しています。


✅ 幅広い互換性と安心の接続性

USB-Bは、レガシー機器と最新機器をつなぐブリッジとして活躍。機器更新のたびに周辺機器を買い替える必要がなく、コスト効率も良好です。また、コネクタがしっかりフィットする設計で、信号断や誤作動のリスクを大きく低減します。

💡 プロ用途の現場では、USB-Bの堅牢な接続が“安心感”につながります。


USB-Bのデメリット

❌ サイズの大きさと取り回しの悪さ

USB-Bは筐体が大きく、スリムな機器との相性が悪い場合があります。コンパクトなワークスペースやラックマウント構成では、ケーブル管理の障害になることもあります。

❌ 転送速度の限界

最新のUSB-CやThunderboltと比べると、USB-B(特にUSB 2.0)は最大速度で劣ります。

コネクタタイプ 最大速度 主な使用用途
USB-B 2.0 480 Mbps プリンターなど基本機器
USB-B 3.0 5 Gbps KVMスイッチ、外付けドライブ
USB-C/Thunderbolt 最大40 Gbps 高速ストレージ、高解像度映像

大容量ファイルの移動や、4K以上の映像伝送にはUSB-C以上が求められるケースもあります。

❌ 一般用途での採用が少ない

最近のコンシューマー機器(スマホ・タブレットなど)ではほとんどUSB-Bが使われていません。そのため、ケーブルやアダプターを探すのに苦労することがあります。


TESmart製USB-B対応KVMスイッチの例

TESmartでは、多くのKVMスイッチ製品でUSB-Bを採用しており、安定した接続と長期的な信頼性を実現しています。

モデル 映像入力 USBタイプ 解像度対応 想定用途例
HKS202-P23 HDMI + HDMI×2 USB-B×2(USB 3.0) 最大4K@60Hz テレワーク環境、デュアルPC作業
HDK202-P23 HDMI + DP×2 USB-B×2(USB 3.0) 最大4K@60Hz ハイブリッドポートのデスク構成
DKS402-P23 DP + DP×4 USB-B×4(USB 3.0) 最大4K@60Hz 4K制御ルームや監視センター
DKS202-M24 DP + DP×2 USB-B×2(USB 3.0) 最大8K@60Hz / 4K@144Hz 高リフレッシュレートのマルチモニター環境

💡 USB-Bは信号干渉にも強く、ミッションクリティカルなKVM環境に最適です。


FAQ(よくある質問)

Q1. なぜUSB-CよりUSB-BのほうがKVM用途に向いているのですか?
A1. USB-Bは構造的にしっかりと装着され、意図しない抜けを防ぎます。多くのKVMスイッチがUSB-Bを採用しているのは、頻繁な切替にも接続が安定しているからです。

Q2. USB-BポートがないPCでも接続できますか?
A2. はい。USB-A to USB-B、もしくはUSB-C to USB-Bケーブルを使えば接続可能です。TESmartなどの製品ではこれらのケーブルが付属していることもあります。

Q3. USB-Bで十分な速度は出ますか?
A3. USB 3.0 Type-Bであれば最大5 Gbpsの速度が出るため、デュアル4Kディスプレイなどの多くのKVM用途に対応可能です。ただし、より高速が必要な場合はUSB-CやThunderboltが選択肢になります。

Q4. USB-Bケーブルは他の機器と互換性がありますか?
A4. プリンターやスキャナーなど幅広く対応しています。ただし、USBのバージョン(2.0/3.0)によって互換性が異なるため、注意が必要です。


総括

USB-Bは、KVM用途において今も最も信頼されるインターフェースです。安定した接続性、広い互換性、そして長期的な運用性を求めるなら、USB-Bは最適な選択肢です。最新のUSB-Cに目を引かれがちですが、KVMという現場では「安定」が最も重要な価値です。

🎯 プロフェッショナルな現場では、スピードよりも“確実な接続”を。USB-Bはその期待に応えてくれます。

コメントを残す

コメントは公開される前に承認される必要があることにご注意ください。